「主によって確かにされる歩み」 元旦礼拝2017

詩篇37篇23〜34節

あけましておめでとうございます。

元旦礼拝にお集まりくださった方々と共に詩篇に耳を傾けました。

ヘブル語の「アルファベット唄」を一つ、年頭にお読みしました。23〜24節はヘブル語アルファベット13文字目のメーム（英語で言えばエムの音）から始まる区分です。「メー・アドナイ」と読み始められる段落ですが、訳せば「主によって」という意味になるようです。つまり、この段落に記されている事柄は主ご自身が主体的に乗り出してなさろうとしていることだ、というメッセージになります。そして、ここで約束されているのは確かな歩みです。年始の頃、一年の計は元旦にありとよく言われますが、確かな歩みを実現させるためにどんな計画を立てることがよろしいのか、どのような手順を踏めばうまくいくのか、どれだけの覚悟が求められるのか。これらはもちろん助けになるでしょう。けれども確かな歩みを確実に賜るのは主ご自身なのです。そして主は私たちがそのように歩むことを喜ばれる。翻して言えば、私たちが確かな歩みをすることを喜ばれる主が、この年も私たちを導こうとなさっているのです。信頼して踏み出そうではありませんか。

「その人は倒れてもまっさかさまに倒されはしない。主がその手をささえておられるからだ」と聖言は続きます。これは決して私たちが倒れても辛うじて転倒しないで踏みとどまる、と言うようなギリギリ感を言い表した聖言ではありません。主イエスさまのご生涯がまさにこの聖言のようなものでした。決して万民からの人気を博したお方ではありません。むしろ、疑われ、厭われ、反対され、そして反対者の策略によって十字架の死にまで歩まれました。それこそ詩篇の聖言を借りるならば、真っ逆さまに落ちた生涯だと言ってしまえるような生涯。ところが神様はその深みから引き上げてくださり、「すべての名にまさる名をお与えになりました」（ピリピ２:9）。真っ逆さまに倒されはしない。この聖言を額面通りに信じて歩ませて頂こうではありませんか。

「主がその手を支えておられる」とダビデは明かします。詩篇91篇はモーセによると言われていますが、類似した聖言が記されています。時代的にこちらの方が先に歌われていただろうと思われます。

「まことに主は、あなたのために、御使いたちに命じて、すべての道で、あなたを守るようにされる。彼らは、その手で、あなたをささえ、あなたの足が石に打ち当たることのないようにする。」（91篇11〜12節）

ここでは神様が御使いたちに命じて私たちを守ってくださるとのお約束が記されています。ダビデは主ご自身が私たちの手を支えてくださると歌います。モーセもダビデも同じ主のお支えを歌っているのであって、決してどちらの方が優れていてどちらが劣っているという比較をするものではないのですが、ダビデはより直接的に神様がご自身の御手を差し出して私たちの手を支えてくださる様子を描いて、信仰の歩み、正しい生き方をしようと志す聖徒たちを、聖言を持って押し出しているのです。

ふと思い出すイエスさまの記事があります。嵐の中を翻弄する弟子たちの舟に、湖の上を歩いて近づかれるイエスさまのエピソードです。イエスさまが舟に近づかれると、最初は恐れていた弟子たちもそのお方がイエスさまと気づいて安堵をするのですが、ペテロが勢い余って今度は自分も水の上を歩きたいと言い出します。イエスさまはそれを許されて湖上に招かれます。最初は調子よく水の上を歩いていたペテロも、風の様子をみて再び怯えてしまい、溺れそうになってしまいます。その時にイエスさまがどうなさったのかが記されています。

「そこで、イエスはすぐに手を伸ばして、彼をつかんで言われた。『信仰の薄い人だな。なぜ疑うのか。』」（マタイ14:31）

ある説教者が、イエスさまがなさったことがこの順番で良かったですねとコメントをしておられました。先に信仰の薄さを叱責なさって、ペテロの悔い改めを待っておられたならば、きっとペテロは悔い改める前に溺れてしまったでしょう、というのです。先にイエスさまはすぐに手を伸ばしてペテロを掴んでくださった。この解釈がどれだけマタイの記事の本意を捉えているかはさておき、イエスさまはすぐに手を伸ばして、ペテロを掴んでくださった。ダビデがこの詩篇で告げている「主がその手をささえておられるからだ」という神様のお支えの確かさと素早さとを彷彿される場面です。

私たちのこの年の歩み、躓くようなことが待ち構えているかもしれません。誘惑が忍び寄るかもしれません。不安や恐れをもたらす材料が道に敷かれているかもしれません。でも主イエスはすぐに手を伸ばして、掴んでくださる。主がその手を支えておられる。信頼して、安心して歩みだそうではありませんか。

祝福をお祈り致します。